フリーソフトの小道   

愛用のフリー・ソフト 第7回
〜 N88互換BASIC for Windows 〜

N88BASICとはどんなもの?

 今回紹介する「N88互換BASIC」は名前の通り、 N88の由来であるNECが作った「PC8800」シリーズの8ビットパソコンに組み込まれた BASIC(当時のパソコンにはBASICが必ず組み込まれていた)です。 このソフトを筆者が愛用しているのではありません。本物のN88BASICを愛用していた筆者ですから許される範囲でしょう。
 当時主流のパソコンはNEC社製でしたから、日本での標準BASICの地位を占めたといっても良いでしょう。
 このBASICの出生元はマイクロソフトBASICで、 MSDOSにはQBASICという名前で標準インストールされていました。それと同等の機能を持っていました。 当時、パソコンのソフトは、ユーザーが自分で作るものという風潮でした(欲しいソフトが市販されていない場合が多かった)、 そのための内蔵BASICというわけです。 しかし、現在は、パソコンソフトは市販品を購入するものという時代ですから、 WindowsXP にはBASICが組み込まれなくなってしまったのも当選でしょう。
 しかし、数学の教科書、センター試験などで出題されるプログラミング言語にはこのBASICが、なぜか現在でも使われているようです。 プロの世界では使っている人を探すのが難しくなっているほどですが、当時はプロのプログラマでもこのBASICを使っていました。 中年以降のプログラマはこのBASICを懐かしく思っている人が非常に多いのです。 現在では消滅してしまった古いBASICですが、フリーソフト作者(潮田 康夫さん)がN88BASICユーザーのために作ってくれたのです。 現在使われているVBは古いこのBASICを大幅に機能拡張しBASICの弱点を補強・成長させて出来たものです。 この機能の乏しい(?)BASICインタープリターについてBASICの歴史、このソフトの入手・インストール法など紹介してみましょう。

N88から現在主流のVBまでのBASICの歴史

 このN88互換BASICは、今回初めて使用したBASIC言語処理系ですが、 相変わらずの「しょぼい」機能しか持ち合わせていない(互換BASICだから当然!)素朴なものです。  Windows3.1(1990年代初頭)が登場したときにパソコンの世界が大きく変わりました。 BASICの世界もWindowsに対応したプログラム開発が必要でした。 当然の古いBASICには、GUI(グラフィック・ユーザーインターフェース)を作る機能を持ち合わせていませんでした。 そこでマイクロソフトにより送り出されたものがVB(当然バージョン1)でした。 筆者もWindowsに切り替わったときにN88をからVBに乗り換えを行っており、 今まで使用してきたBASIC言語処理系はマイクロソフトのVBでした。 現在はバージョン6です。バージョンの番号からも時の流れが感じられます。 なお、ワープロの「一太郎」の場合も、Windowsが出る前がバージョン4、今年2月発売される最新バージョンが13 (さすがに13は縁起が悪いためか「一太郎2004」と呼ぶそうですが)になっている。 VBは良く出来た開発用BASIC言語でプロの世界は現在でも良く使われているものです。

N88BASICの便利なところ、不便なところ

 N88BASICが登場した当時のパソコンはメモリー容量が100KB足らず(64KB)しかなく、 現在のパソコンが数100MBのメモリーを備えている現在のもの(ノートパソコンでも256MB)と比較するとたった1000分の1より少ない。 当然、使われるプログラムも現在と比べて非常に小さなものだったので、N88BASICの機能でもプログラムに十分対応できたのです。  当時BASICに要求された能力は、文字を使ったCUI(キャラクタ・ユーザーインターフェース)でのアプリケーションソフトだったこともあり、 N88BASICは、それでも十分に活用できたBASICだったのです。
 現在主流のプログラミング言語に全て備わっている機能だが、N88BASICに備わっていない代表的なものを次にあげてみよう。 (現在のプログラミング言語には、N88BASICにある機能全てが備わっている)

  1. グローバル変数、ローカル変数の区別が無い(大規模プログラムが出来ない最大の弱点)
  2. プログラム構造化が難しい(サブルーチンの引数が使えないなど)
  3. データーの構造化の機能がない(構造型データ、オブジェクト型などがない)

 以上の3つの機能を持たないことが最大の弱点でしょう。 しかし、数100行から1000行程度までのプログラムではそれほど弱点とはならないので、 練習用、学習用に使うには支障はありません。 ただし、このBASICに慣れてしまって、 プログラミングに対してルーズな体質が身についてしまうと後悔することになります(忠告)。
 ルーズなところは「使用前に宣言しなくても使える変数、配列」があるところです。 また、プログラムの一部のつづりが間違っていても動いてしまうことです。 N88互換も当然それを引き継いでいます。適当にプログラミングを作成するとき便利なのですが (動かしてエラーが出たら修正したらよいという姿勢でプログラミングすることができる) ただし、このような姿勢でプログラミングをしていると、 コンパイラー言語ではコンパイラーのエラーメッセージの山に埋もれてしまって、まったく仕事になりません。

N88互換BASICを使うには、ダウンロードし、インストールすること

 N88互換BASICを使いたくなったら、 インターネットで配布するサイトからインストールプログラムをダウンロードをすることが最初の仕事になります。 ダウンロードは、次の窓の杜の「N88互換BASIC」のページ(クリック⇒ 「N88互換BASIC」 する)がプログラム配布のサイトです。
 N88互換BASICの説明を見て「ダウンロード」のマークの部分(タイトル左部分)をクリックすると ダウンロードが始まります2371キロバイト(2.4MB)程ありますのでダイヤルアップの人は10分程度、ADSLの人は1分以内で完了です。
 次にインストールになります。ダウンロードされたインストールプログラムは「lzh」で圧縮されていますので、適当なホルダーを作ってそこに解凍します (解凍ソフトが無い場合は解凍ソフトもダウンロードする必要があります)。 そのフォルダーにはサンプルプルグラムリストとインストール用のプログラムがあります。 インストールプログラムは「setup.exe」という名前で、それをダブルクリックするだけでインストールが始まります。 標準のインストールであれば画面の指示の通りにクリックするだけでインストールは完了です。 インストールされた N88BASIC の本体は標準では C:\Program Files\WINBAS95 のホルダーにあります。

N88互換BASICを使う

 プログラムを動かすには Windowsの[スタート]メニューを探せばどこかに N88互換BASIC for Windows の名前があるはずです。 それをクリックするとプログラムが起動し、プログラムが作成できます。 (または、Windowsのエクスプローラで C: のProgram Files フォルダ内の WINBAS95 フォルダにある Winbas95.exe をダブルクリックしても起動できます)
起動すると白いウインドウと黒いウインドウの2つが開きます。白い方がプログラムを作るエディタになるウインドウ、黒いのが実行結果を表示するウインドウになります。 白いウインドウでプログラムを作り、メニューの実行(または三角右向きのアイコン)をクリックするとプログラムが実行され、 エラー表示か実行結果かのどちらかが黒のウインドウに表示されます。

 なお、白いウインドウのメニューにヘルプがあり、しっかりしたヘルプファイルがあるので使い方、N88BASIC の機能などの詳しい情報を知ることもできます。

 ここまでくれば、後はBASICの勉強です。筆者の使用感は良好です。 昔のパソコンという感じですが、頭で考えた通りに動いてくれます。 圧縮ファイルを解凍したフォルダーにサンプルプログラムがたくさんあるので それを動かしてみるのもおもしろいかもしれません。
 勉強せずには使えませんが使いこなせばBASICでのプログラミングが楽しめます。 がんばって挑戦してみましょう。なにしろ無料なのですから。



 2004/02/09  管理人(志)


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