フリーソフトの小道   

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第17回 OpenOffice.org 2.0 開発バージョン 1.9.72版
「バージョン2」 は今までの 「バージョン1」 ととどこが変わるのか?

開発中のOpenOffice を使ってみました

 「OpenOffice.org 1.1」 は、マイクロソフトの Office との互換性をそなえ 実用のビジネスソフトとして通用するオープンソースとして有名で、 このサイト 「物理の小道」 のPDFコンテンツの大半が OpenOffice で作られています。 春にもリリースされる予定の OpenOffice 2.0 ですが、その開発途上のバージョンが公開されています。 オープンソース開発ではこのように開発途上のソフトウエアを一般のユーザーに公開し、 ユーザーがソフトウエアを使うことが普通です。 ユーザーはソフトウエアの不備(開発中だから当然です!)を承知の上でそれを使用し、 その不備をプログラマに報告することで、ソフトウエアの完成に協力するのです。 今までお世話になっているOpenOfficeですので、今回は開発に協力することにしました。 新バージョンの様子をこの場で報告しましょう。

当然ながら、使用中にフリーズ、リブートが起こります(覚悟の上)

 今回使用したものは、1.9.72 というバージョンで、独自ビルドプロジェクト から1月23日に公開されたもので、当然 「日本語バージョン」 です。 ダウンロードは簡単で、ファイルサイズが79メガバイトですので、日本語版独自プロジェクトのホームページからダウンロード(ADSL接続では数分以内)できます。 なお、安心して使える OpenOffice正式版(1.1.4) が必要な方は OpenOffice日本ユーザー会 からダウンロードできます。

当然ながら、使用中にフリーズ、リブートなどが起こり作成中のデータが無くなることありましたが、覚悟した上での使用だから気になりません。 実際に、オブジェクト埋め込みなど複雑な技を使うとフリーズしてしまうので仕事では利用できません。 ソフトウエアの不備を見つけるためと割り切って使うのです。

一部の漢字フォントの利用不可だったのが改善された!

 現行のバージョン1.1 で不自由だった 日本語フォント の利用が随分改善されています。 Windows では数多くの漢字フォントが流通していますが、OpenOffice で全てが使えたわけではありません。 大半のフォントは使用できたのですが、一部のフォント(DFまるもじ体フォントなど)では、すべて「・」に表示されて漢字になりませんでした。 この不備については現行の正式版1.1.4 では残っていましたが、今回のバージョン1.19.72 では解決されていることを確認しました。

マイクロソフトOfficeと同様の オートシェープ機能が完備された!

 現行のバージョン1.1 で 「吹き出し」 や 「矢印記号」 などは図形オブジェクトで独自に作成したものを使わなくてはならなかったが、 今回のバージョンでは標準で装備されていた。プレゼンテーションなどでは不自由していたもので、この改善は大歓迎ですね。

マクロ機能にBASIC、Java、Pythonなど一般のプログラミング言語が可能!?

 マクロ機能のメニューで、現行のバージョン1.1 で使われているBASICのほかに、一般的なプログラミング言語が含まれていたことでびっくりしたのです。 どこまで使えるのか、Linux版のみか、Windows版を含めるのかなど、まだまだ未確認の事柄ですが、楽しみな改善点といえるでしょう。

おかしくなった「ページの行揃え」

 良いことばかりではありません。改悪となっている(当然、2.0正式版では解決されるだろう)部分もいくつか見られます。 ページの行揃えで、「行末を揃える」 がおかしな振舞いをすることです。行末に改行があるときでも行末を揃えてしまう(文字間がびっくりするほど広くなる)ことでしょう。 ぜひともこの振る舞いは現行のバージョンで行われている方式に戻して欲しい。

数式処理で、ギリシャ文字の表現が変わった(これはダメだ!)

 数式の中にギリシャ文字を入れたい、このようなことは物理では日常的にあります。 例を挙げると 「最大摩擦力の公式」 で F=μN でしょう。マイクロソフト Offce では、マウスでこの摩擦力の公式をクリックを繰り返し作成するのですが、 OpenOfficeでは、同様の方法以外にも次のような便利な入力方法があるのです。
  F = %mu N
 この方法は、数式ドキュメント作成システムである 「TeX」 の入力形式を基にしたもので、すべてキーボードで入力可能です。 マウスに頼らず、ブラインドタッチの入力が出来るので、数式を含む文書作成の能率が大きく改善できるからです。

 新バージョンで同様のことを行ってもギリシャ文字が出てこないので、マウス入力で行い、入力結果を見てびっくりでした。 μの入力は %ミュー  なのですから。これでは、漢字モードに変換する操作が余分にかかります。改悪そのものでしかありません。

改善して欲しいが今回もそのまま(残念!)

 以前から不自由を感じていることに、オブジェクトの中でオブジェクトを利用することができない部分です。 具体的に言えば、テキストボックスの中で数式オブジェクトを扱えないことです。 技を使えばできないことは無いのですが、この点は改善して欲しいところです。 その技ですが、オブジェクトの外で作成したオブジェクトをコピーし、オブジェクトに貼り付けることで可能です。 ただし、編集その他は出来ませんので完全ではありません。

 春には、正式版のOpenOffice 2.0 がリリースされるはずです。楽しみに待っていましょう。 それまでは1.1.4で辛抱するしかありませんから。



2005/01/31  管理人(志)


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