「物理の小道」 ギャラリー

おまけグッズ編  くだらないと言えばくだらないものですが

第101回  ボトルキャップシリーズ ペプシコーラのおまけ

インクレディボーイ

 名前からすると、Mr.インクレディブルの子供のようですね。お父さんがMr.インクレディブルで、 ヤングインクレディブルが長男、インクレディボーイは末っ子でしょうか? 間違っていたらご指摘くださいね。 ついでに一言、右の写真はほこりっぽいですね(笑)。

 ※ Mr.インクレディブルの子供ではないとのご指摘を 「774」 さんから受けました。 Mr,インクレディぶるの息子はダッシュとジャックジャックだそうです。

中学校の教科書検定のニュースでにぎわっています

 教科書が改訂されたのは 「ゆとり教育」 の文科省の方針が、学力アップを目指す 「つめこみ教育」 を一面で許す方向への変更のためです。 今回の教科書改訂の中心は数学、理科を中心として行われたようですが、ニュースでは社会の変更部分(竹島、尖閣列島などの領有権主張)が記事の中心です。 政治、経済が中心の新聞では、これが大ニュースなのでしょうが、これは改訂のほんの一面に過ぎないことに注意が必要です。 前回の指導要領の変更時に切り捨てた数学、理科の学習分野で 「発展」 の名の下にそれらが復活しているのが中心です。 改訂の主体は 「数学」 と 「理科」 なのです!

1960年代当時の世界的背景

 文科省が決める教育課程(指導要領)は 「米ソ冷戦」 が政治経済の中心となった時期に、教育の質、量ともに最も高くなったのでした。 いわゆる 「スプートニック」 ショックが原因です。 当時のソ連(現ロシア)が、1957年に、世界初の人工衛星打ち上げに成功したためです。 人工衛星の打ち上げそのものは大したことではないと思われるのですが、これが政治の世界では 「一大事」 だったのです。 核兵器(原水爆)は、敵地まで爆撃機で運ぶ方式でした。 そのため、米ソともに現実に自国が核攻撃を受けることは現実のものとは思えなかったのです(途中で撃墜すればよい)。 しかし、人工衛星打ち上げ成功は、大陸間弾道弾打ち上げ技術と表裏の一体のものです。 地球を一周できる人工衛星打ち上げは、ソ連が核兵器を地球の裏側(アメリカ)に打ちことができるのと同一です。 核兵器の存在意義は互いの核のバランスにあります。 そこで、アメリカ(および同盟国)は人工衛星打ち上げに全力を注ぎ込まざるを得ない状況になったのです。 その後に続く宇宙開発競争もそれ自体の単なる目的ではなく、国威掲揚、ミサイル技術向上のにつながる技術開発という目的があるためだったのです。 そのための科学技術を支えるのは、教育です。そこで、教育に大きなドライブが働き、教育内容の質、量共に充実させたのでした。 日本の高度成長、経済先進国への発展に大きく貢献したのが 「高度な教育」 の成果といえます。

落ちこぼれ問題

 教える内容が拡大・充実すれば、学習者全員が学習内容を十分に消化できるはずはありません。 高度成長前は中卒で就職する人も多くいました。 しかし、高度成長期以降に高校進学率がどんどん高まり、ほぼ全員が高校に進学するようになって行きます。 授業についてゆけない人が多数でてきます。高校進学率が上昇するにつれ、高校の教育内容を消化不良のままそう津行する生徒が激増しました。

 生活が豊かになる前(日本の高度経済成長期)で、日本人全員が 「将来の夢を描きながら」 努力できた時期とも重なっていました。 そのため、難しい学習内容にも挑戦することが夢の実現につながると、意欲が沸いたのです。 その後のオイルショック、公害問題などの難しい時期も乗り越えて日本経済は飛躍的に発展し、今の日本があるです。 その結果、日本は、必死に働かなくても(贅沢を言わなければ)生活できる 「豊かな社会」 を実現できたのです。 少子化のため、同一世代人口がどんどん減少し、競争の厳しさも和らぎました。 そのような社会になって、高度な内容の学習に取り組めなくなってきたことが 「落ちこぼれ」 問題でした。

そもそも学力低下の原因とは

 「落ちこぼれ」 問題を解決するには、「学習に取り組む意欲を増す」 か 「学習内容を薄くする」 かのどちらかでしょう。 選んだ教育政策は 「内容を薄くする」 の方でした。 ゆとりある教育との掛け声の下で、10年毎の教育課程の改訂のたびに教える内容を薄くしてゆきました。 前回の改定は土曜日全休も含めて3割カットとも言われる大幅改訂がなされました。 結果は、ニュースでたびたび報道される 「国際的学力比較」 のレポートでした。 日本の学力は、従来維持していた学力トップのレベルからの脱落でした。 このような学力低下への危惧は改訂前から言われていたのです。 教育は学習内容の多さではない、学ぶ力、生きる力が育てばよいと文科省は言い続けていました。 しかし、その根拠を失ってしまったのでした。 学力が低下した上に、学ぶ意欲も失った日本の子供の姿が見えて来たのです。 自宅で学習する時間が世界中でも非常に短いとの調査結果まで出てきてしまいました。

私立中高一貫がなぜ伸びるのか

 現実の教育界を眺めてみても分かります。 東京、大阪を初めとする公立高校の存在感の低下が顕著です。 中高一貫私立が上位層を支配してしまったことからも分かります。 規制でがんじがらめの公立に対して、私学は自由ですから結果は見えています。 どこでも同じでしょうが、一日の授業時間を増やしたいと先生が言っても、教育委員会はそのようなことを公立には認めないのです(事実です)。 教科書を無視した授業を行うことも違法行為となるのです。 それに、有能な先生も時期が来れば強制的に転勤する制度になっています(大阪府が顕著な例)。

学力低下の解消は可能か

 「教える内容を減らす」ことと「ゆとりを持つ」ということは同じようで、異なるようです。 国際的な学力比較などの調査によって、日本の子供の学力低下の事実を突きつけられ、 文科省は方針の大転換をさせられた(自ら転換したのでなく)ためのものです。 産業界を中心とする日本の将来を憂う声は以前からあったし、大学のレベルダウンは昔から見えていました。 産業界の目は上位層の学力を危惧するものでしたが、上位層の低下はすなわち全体の低下でもあることが 各種調査の結果からも露見しました。 一番怖いのは、自宅での学習時間が世界でもまれなほどの短時間となっていることでしょう。 学習する意欲は、学習することで 「大きな将来の夢」 が必要です。 教科書が分厚くなっても、教える内容を増やしても効果は期待できないでしょう。 どうすれば、学習意欲を高めることが可能か?

学力の2極分化が社会の2極分化を導く

 また、学力が2極分化(0.1極と1.9極分化という方がよいかも)の様相を示していることも気になります。 勉強に努力する人は非常に少ないが現在でもいます。しかし、勉強を放棄している人が多いことも事実です。 単純作業などの労働力を必要とする業種は日本から海外にどんどん出て行っています。 知的労働主体の業種にならざるを得ない日本社会が訪れるのは見えています。 知的能力を備えない人は 「おいしい職業」 に就業できる機会が少なくなってきたのが現在の日本です。 ニート問題を含めて、今後の日本の2極分化の社会構造になることを加速する原因の一つでしょう。 これからの日本は 「完全競争社会」 を迎えることは間違いありません。 天国を見るか、地獄を見るかも 「自己責任」 という一言で語られてしまうのです。

2005/04/06  管理人(志)


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